2004年10月10日

「穴願望」

嫌っ。そっちじゃなくて、私を見て。・・と思う。

目の前に、四つんばいの、可愛らしい女性が居る。
貴方が、彼女を見下ろしている。

私は貴方の背後で、ただ呆然と立ちすくんでいるが、
 私の心の叫び声は、貴方に聞こえているのかいないのか・・
貴方は、私になどまるで無関心で、ひたすらシャッターを押し続けている。

カシャ、カシャッ。

貴方のシャッターを切る音に、
彼女の肌が、みるみる紅味を増していく。

柔らかそうなその肉が、じっとりと汗ばんでいき、
それはまるで爬虫類か何かのような、艶やかさだ。

貴方は無言のままなのに、
彼女はまるで貴方の指示に従うかのように、どんどんその体勢を変えていく。
 お尻を高く、
 足を開き、
 上半身は床と同化してしまうくらいに低く、
まるで、穴だけの存在を誇示するかのような。

私には、貴方の満足が、そのシャッター音の間隔から伝わってくる気がした。


ぁぁ・・。嫌っ。・・見たくない。
見たくない、そんな彼女も。貴方も。・・なのに私は、目が逸らせない。

「四つんばいもわからないのか?」

ファインダーを覗いたままの貴方の言葉にはっとして、
私はその場に崩れるように、膝をつく。

そして何かに憑かれたように、貴方に向かってお尻を突き出す。

ぁぁ、私も。私も。
・・だから、お願い。そっちを見ないで。こっちを見て。見てください。

カシャ、カシャ、カシャッ。・・再び、シャッターの音。

 ぁぁ、何を。貴方は、今、何を撮っているのだろう。・・私にはわからない。

ふっ、と「あぁ・・ぁっ。」・・彼女の、小さな歓喜の声が聴こえた気がした。

・・え。あ? ぁぁ・・そんなの嫌っ。嫌ぁぁ。 ・・私は叫んでしまう。

「うるさいな。」貴方の声。 ・・ぁぁ、そんな。そんな・・。


貴方に向かって突き出したお尻の、
貴方好みに剥き出しに剃り上げたアソコが熱い。痛いくらいに熱い。

 お願い、助けて。

慎ましやかな彼女の肉とは、おそらく正反対に、私という肉は、
野蛮で卑しく、限りなく浅ましいのだろう。
 そんな思いが、余計に自分をかき立てる。

「お前はちっとも素直じゃないが、この穴だけはいつも正直だ。」
背後の頭上で、私に向かって、いつもの貴方の声がした。


ああ。穴に。だから穴に。私は、ただの穴になってしまいたい。
 どうしたら私は、ただの穴に成り下がれるのだろう。

どれだけの汗と、涙と、叫びを、この穴から噴出し、垂れ流したら、
 私はただ、貴方だけの穴に、成り下がれるのだろう・・。


 触れてさえ貰えずに、泣きじゃくりながら、
 私はただいつまでも、自分のお尻を突き出し続けていた。
posted by sizuku at 14:22| Comment(5) | TrackBack(0) | 銀色の水鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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