2004年06月04日

「あなたに何が分かります。」

私の好きなつかこうへいの描く世界は、「前向きのマゾヒズム」と評されます。

正直なところ、好き嫌いのはっきりと分かれるお芝居、舞台ではあります。
ので、誰にも彼にもオススメ出来るわけではないのですが・・。
 嫌な人には、ホント嫌だろうな。と。
だけど、嵌ったら・・抜け出せませんよ。それはまるで、麻薬のように。

彼のお芝居は、笑えます。泣けます。切なくなります。痛くなります。苦しくなります。

つかこうへいは、どのお芝居でも、あらゆる登場人物に、繰り返し、繰り返し、
「おまえにわかるか、オレの気持ちが。」
「おまえに、オレの気持ちの何がわかる。」
「おまえなんかに、オレの気持ちがわかってたまるか。」そう言わせ続けるんです。

ん・・ぶっちゃけ、わかるわけないですよね。他人の気持ちなんて。ホントの意味では。

私はそれが、おそらく誰の心の中にもある(性的嗜好の意味合いとは限らず、の)
マゾヒスティックな(あるいはサディスティックな)部分を刺激するからだと思うんですが。
なのに見終わった後、何故だか、どうしてだか、救われている。

・・それは「責め」と「救い」の妙。

つか作品には、人間の弱さ、狡さ、汚さ、哀れさ、哀しみ、卑しさ、浅ましさ、
情けなさ、恥ずかしさ・・そんなものが、もう嫌っというほど描かれています。
と同時に、その強さ、健気さ、可愛さ、いじらしさ、一生懸命さ、美しさも。

「生きるってことはこんなに大変なことなんだ。」・・そこには、男も女もなく、
人間というものの、そんな本質が描かれていると感じます。

彼の、真の作品に触れようと思ったら、ぜひ「生の舞台」をオススメします。
それも「つかこうへい原作・脚本・演出」と三拍子揃ったものがベストかと。
 残念ながら、あまり機会は多くないのですが。

この夏には、東京の他にも、ちょうどこんな公演ツアーが予定されているようです。
(詳しくは、劇団公式サイトへ。)

 ――――――――――
「熱海殺人事件」

「熱海殺人事件」

■「ふふふ。もう感じてるのか。もっと感じさせてやろうか。」

>坊ちゃん、あんたの奥さんとお袋さんがどうやってオレにすがり付いてきたのか
>見たくありません?
>女ってのがどんな生き物か、見といた方がいいと思うんですよ。
>覚えといた方がいいと思いますよ。

>水野、おめえもいつも男に抱いててもらってたいんだろう。
>そういう女なんだよ。白い足。もう感じてるよ、この女。

>榊原、この女感じてるぞ。あぶない女なんだよ。

>お前、男なしじゃ生きていけないんだろ。・・こいよ。
>気持ちよくさせてやるからよ。すがりついてこいよ。こいって。
>オラ、優しいぞ、あいつと違って。さっ、オレの胸の中で泣け。来いよ。

>坊ちゃん、女ってのをかいかぶっちゃいけません。
>男の優しさにあんたの奥さんとお袋さんもすがりついてきたんですよ。
>そしてこの女も。

■「あんたと一緒になるくらいなら、ウマヤドさんの愛人の方がいい。」

>ウマヤドさんに一度抱かれたら、もう、離れられんとよ。
>あん人は、指だけでいかせてくれるとよ。
>こんなヒゲのはえてる私でも一晩中、ヒゲを撫でて抱いてくれるとよ。
>うちをコケ呼ばわりせんかった、ただ一人の人たい。
>お姫様と呼んでくれるとばい。
>姫、おまえが五十になっても六十になってもこうして頭を抱いて眠らせてやる、
>安心せい、ちゅうてくれるとよ。・・嬉しかった。

「奥さん、米屋です」「人間の尊厳」「子」「女優」
posted by sizuku at 09:23| Comment(2) | TrackBack(0) | つかworld | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
人間としての、母としての、女としての‥
私の中のいろんな血が‥ 騒ぎ出しました...
絶対に見なきゃ‥(^^;;
セリフ・・何度もこっそり呟いてみました‥
字が読めて、呟くことができる幸せ‥
ふっと、感じてしまいました‥
m(_ _)m
Posted by thorn_rose at 2004年06月05日 00:54
あ。あ。あ。
また一人・・中毒患者さんが生まれてしまうのかも?(笑)
そう、いろんな血が騒ぐのです。ほんとに。
きっと初めてご覧になったら、吃驚されるとは思うんですが。^^;
怒涛の台詞。飛び散る汗、唾。息もつかせぬ2時間ですよ。(笑)
見終わった後はきっとぐったりです。だけど心地いいんだなぁ・・。
それはまるで・・××のよう?(笑)
Posted by sizuku at 2004年06月05日 03:20
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