2004年06月13日

愛を囁けない女

その女には、いまだに愛というものが何なのか、わからない。

ただの一度でさえ愛の言葉を囁いたことがない女は、
どこか何か、感覚の欠けている女なのだろうか。

それでも女は、愛の言葉を囁かれたことなら何度かあった。
そんなとき女が、そんな男たちを疑ったかと言えば実はそうでもない。

「そうか・・私は愛されているのか・・。
 そうか、私はきっと今、この人の言う愛というものに包まれているに違いない。」

それは女にとって、時にたいそう心強いものであり、
また、ぬるま湯のような心地良さでもあった。

ある時、ある男が女に言った。
「お前を誰より愛している。
 俺はお前が俺を必要とする限り、いつまでもお前の傍に居てやる。
 俺以上の愛し方でお前を愛せる男が、お前の前に現れない限り。」

その男の愛は激しかった。女はそんな男の言葉に震えすがりつき、涙を流した。
そのとき女にとってその愛という言葉は、限りなく甘美な響きだったのだ。

今の男は女に愛の言葉など囁かない。

 果たしてこの男はどうなのだろう。
 愛というものの正体を知っているのか、いないのか。それはいったい何なのか。
 試しに聞いてみたい気もするが、きっとこの男は答えないだろう。

かつて女に愛の言葉を囁いた男は、いつしか女の前から消えていた。
おそらくその女には、その男が必要なくなったに違いない。

が、相変わらず女には、愛というものが何なのか、いまだにわかっていないのだ。
posted by sizuku at 22:27| Comment(2) | TrackBack(2) | 銀色の水鏡 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
読んでから、もうかれこれ、1時間以上経っています。
“愛”って、そもそも「これこそが愛」って、あるのかナ‥
人を想う気持ち、それが“愛”では‥?
人類愛、神の愛、親子、兄弟、恋人、夫婦、師弟‥
助け合い、支え合い、経済的な損得を超えて相手を想うとき、もうそれがすでに、“愛”では‥?
人はときに“永遠の愛”を誓うけど‥
特に恋心を伴った愛はそうだけど、
それが本当に永遠なんて、あり得ない。
いつか人は死ぬから‥ 絶対‥
そして、年月が経つうちに、気持ちがずれていく事だって‥
そうなったときに、じゃ、過去の愛は偽者なのか?
‥私は違うと思う。
心から相手を思い、時にはなじったり、憎んだりしても‥
それも、“愛”なんじゃないかナ‥
苦しくて、自分をコントロールできないから、醜い形として現れても‥
根っこの部分は、きっと“愛”なんだと思う。
だから、“愛”が醜くならないように、人は心を少しでも強くしようと努力し続ける‥ 死ぬまで‥
何度も失敗しながら‥ 傷つけ、傷つきながら‥
でも、それも、“愛”という力が大きいから、制御しにくいだけ‥
“愛”という強大な力のベクトルを、少しでも美しい表し方に向くように‥
人は頑張り続ける‥ 意識的に、無意識的に‥
きっと‥

今はそんな風に思っています‥

あ‥ また、長々コメントしてる‥
答えになんかなるはずはなく‥
というか、こんな問いに答えの出せる人なんて、
きっと居ないでしょう‥

m(_ _)m
Posted by thorn_rose at 2004年06月14日 01:25
こんなワケのわからない文章に、コメント恐縮です。^^;
 それだけに嬉しさ倍増。^^
ん。想うことが愛。・・素敵だなぁ・・。ありがとうです。
「永遠」はないとわかってるからこそ心から願い、祈るものなのかもしれませんよね。
Posted by sizuku at 2004年06月14日 03:53
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“愛”− 永遠の謎 −
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Tracked: 2004-06-14 01:36

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Excerpt: おなじみ、万里アンナさんのブログ 【官能の大海/エロ民俗】の【本日のエロネタ(エロ宗教・日本2)】という記事で、 またまた感じ入ってしまいました。 百聞は一見に如かず、ですので、まずは記事を見てく..
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Tracked: 2004-06-18 22:33
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