2005年05月12日

加減

私が大好きな「彼」の手は、指先までもがごつごつと男らしい。

鷲掴みにされて、指先に力を込められたりすると
自分の乳房なんて、ぐちゃっと握り潰されてしまうのではないか、
そんな恐怖を感じるくらいに、それはものすごく力強い。

が、同時にそれは、見た目からは想像もつかないほど、
器用に縄を操り、縛る肉質を見事に見極めるほど繊細でもある。


私が生まれて初めて縛られたのは、
縛るほうもまた生まれて初めて縛る、そんな年下の男に、だった。
 もう今となっては、遠い遠い昔の話だけど。

今思えば、最初その縄は、遠慮がちにとてもとても緩かった。
少し経つと、逆にその縄はきつくなリ過ぎた。

「ちょうどいい加減」というのを、あの頃、私たちは
きっと二人で探していたんだろう。

その加減を見極めるのに、私たちはお互いに真摯だったと思う。

残念ながら、ようやくその縄の加減が私の肌に馴染んだ頃、
まったく別の理由で、私たちはその関係を解消したのだけど。


加減のいい縄は、まるで吸い付くように肌に添う。
無駄な遊びはないくせに、ちゃんと肌が息をする。


初めて「彼」に縛られたとき、私は震えた。

年下の彼と別れてから、しばらくぶりで縛られる興奮もあったし、
とうとう「彼」に縛られるのだ・・という興奮もあった。

だけど何より「彼」の縄が、とても「加減がよかった」のだ。


そのときに私が感じる感情というのは、とても複雑で、
いつだって一言で言い表すのは不可能に近いのだけど、
言うなら「彼」の縄は、私には初めからとても心地が良かった。

その心地良さにはもちろん安心したのだけど、その裏で私は、
そんな「彼」の積んできただろう経験に、湧き上がる嫉妬も感じていた。

 ・・自分のことは棚にあげて・・。

 ――――――――――

そんな「加減」を知ってしまっている自分自身の肌も、
彼の経験にさえ嫉妬する自分の心も、

私は自分がものすごく汚れていて、
とても醜い、汚いもののように感じることがある。
posted by sizuku at 02:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 銀色の雫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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